大暮維人さん、と言えば、「エアギア」や「天上天下」などの作品が有名だと思います。
また、最近では西尾維新さんの「物語シリーズ」の作画も担当されているようです。

今回は代表的な作品でもある「デビル」について、記事を書いていきます。






二人の主人公と、二つの物語から描かれるストーリー

「デビル」には前半と後半と呼ばれる大きな区切りがあり、それぞれで主人公が違います。
前半では、自らの力で敵を倒していく豪快な主人公の哲。
後半は、身体能力は高くはないが、豊富な知識と高い思考能力で勝利をつかむ通称デコッパ(笑)。

タイプの違う主人公ですので、物語の展開も大きく変わります。

前半部分では、自らの力でゴリゴリと、こじ開けていくような展開ですが、後半部分では前半のように力でねじ伏せることができないので、ありとあらゆる方法でピンチを切り抜けていきます。

しかし、どちらの物語にも共通をしているのが、「ある一人の、頂点に立つ男」になります。
この男を知る、知らないを問わずに関係をもったことで、大きく二人の生活が変わることになります。

「俺の血を飲んだな…?」

これは前半ストーリーの重要なシーンでの一言になります。
主人公の哲は、ある男と不運にも戦うことになります。
暴走族のヘッドでもあり「魔人」と呼ばれるほどに、戦闘能力が高い哲ですが、この男には歯が立ちません。
死を覚悟しながら一矢報いようと無意識のうちに身体が動いたのでしょう…。
このときに意図せぬ形で、この男の血を飲むことになりました。

この男はどうやら「吸血鬼」のような存在のようです。
数百年の間一人で生きてきたこの吸血鬼は、自分の血を飲んだ人間を自分と同じような「人間ではない存在」へと変化をさせるようです。

しかし、誰しもが人間ではない存在へと変化をするわけではありません。
作中では、哲の妹でもある里美から「未知のウイルスでは?」という仮説が登場をします。
ウイルスということですから、当然ながら人により、合う、合わないがハッキリと出てくるのです。

違う作品で例えるなら「ファイナルファンタジー7」の「ジェノバ細胞」のようなウイルスです。
デビルではこのウイルスのことを「魔人ウイルス」と呼んでいます。

実際に、吸血鬼によって噛ませ犬として感染をさせられた親友のサトシは、ウイルスの力の暴走で文字通りの化け物へと姿を変えてしまいます。

この辺もジェノバ細胞の感染者と近いものを感じます。

そして魔人ウイルスの感染者は、ほとんどがサトシのような不完全体になるのです。
このような厳しい確率を潜り抜けることで、哲と里美は、後半のキーパーソンへと変わっていくのです。

「こういう生物なんだ…」

ここからは後半部分の内容を元に書いていきましょう。
見出しの言葉は、後半の主人公である、出虎一八(いでとら かずや)通称デコッパが、勝機を見出した時の言葉です。

デコッパは某人物のようにIQ200もの頭脳を持っている超天才です。
デコッパは高校生ですが、自分の時間では「フェルマーの最終定理」をよく解いています。
また、父親、親戚ともに学者であることもあり、研究をよく手伝っているようです。

しかし、デコッパは前半の主人公である哲や某人物のように運動神経に関しては平均的な人間です。
そのために、少年漫画でよくある、豪快に敵を倒して勝利をつかむ!という展開を作ることが出来ません。

ですが、デコッパには人並み外れすぎた豊富な知識と、凄まじい思考能力があります。
そして、この二つを上手く使い、何度もピンチを克服していきます。

また、デコッパが使う内容の多くは、学校の授業などで学ぶ内容も多くあり、主に理系の内容ですが、勉強にも役立つ人が居るはずです!

知識とは人類のみが有する存在です。

この知識という武器をスマートに使い、戦い、勝ちに行くのが「デコッパスタイル」の戦闘スタイルになります。

この辺は、私が大好きな海外ドラマである「CHUCK」の主人公「チャールズ・バトウスキー」とも共通をしています。

肉体的な戦闘能力が高くない人間が、圧倒的な身体能力を持つモンスターと戦い、勝つにはどうするべきか…。
普通に考えれば、このような相手では、多くの人が絶望感に包まれ、全てを投げだすでしょう。
しかしそこで投げ出さず、常に生き残るために頭をフルに使うことで、デコッパは自分と大切な人たちの命を守り続けていくのです。


大暮維人さんの他の作品の原点が見れる…ような気がする。

大暮維人さんの有名どころの作品は「エアギア」と、「天上天下」だと思います。
この二つは、前半の主人公の哲のような主人公自らがワイルドに戦い物語が進んでいく作品だと思います。
それとは別に、原作は西尾維新さんですが、どちらかというと、デコッパのような心理戦や、思考戦も多く出てくるのが「物語シリーズ」だと思います。

もちろん物語シリーズでも、主人公である阿良々木暦が戦うお話もありますが、私の印象としては、どちらかというと、実際に戦って解決をする内容よりも、それ以外で解決をするお話の方が、印象が強くあります。

この記事を書いている2019年9月の時点では、物語シリーズは、まだまだ途中ですが、今後も西尾さん独特の世界観を、大暮さんがこれまた独特の世界観で素晴らしく作り上げてくれると思っています。

また、デビル自体が結構前の作品ですから、物語シリーズやエアギアなどは読んだことがある人でも、デビルは知らない人も多いかと思います。
先にデビル以外の作品から大暮さんを知った人も多いと思います。

またこれは、大暮さんがエアギアの連載中に仰っていましたが、意図的にエアギア初期の頃とキャラクターの描き方を変えています。
これは、連載が続いていく作品ではよくあることですが、無意識的に自然と変わっていったというよりも、大暮さんが意図的に、自分の中にあるイメージにどんどん近づけていった…というような内容を言われています。

なので、昔の大暮さんを知りたい人にも、デビルは読む価値があると思います。

また私の中で、大きく描き方が変わったと思う人を何名かご紹介しておきます。
まずは、「るろうに剣心」の和月先生。
次に「スラムダンク」の井上先生。
そして、「ダーリンインザフランキス」の矢吹先生です。

もちろん、変化があることで、人の好き嫌いも出てくると思いますが、私に関しては、全部の作品がふつうに大好きです(笑)
ただ、昔の作品が今の絵柄で登場をするとテンションがあがりますね(笑)
例えば、「るろうに剣心キネマ版」とかが、わかりやすいですね。
あとは、「ToLoveる」にゲストで出てきたトレインとかも、良いですね~。

デビルに話を戻しますが、この作品に関していえば、とりあえず、昔の絵柄で楽しめるのと、通常の戦闘シーンのほかに、思考戦という、違ったタイプの戦いを両方楽しめる…という部分がおススメだと思います。

ほんと…。
なぜ、2巻で終わってしまうんだ…と、めちゃくちゃ思っていますよ。

生物の頂点としての人間の強さがよくわかる

詳しい内容は…あえて書きませんが、ぶっちゃけWikipediaには、結構なネタバレが書かれています(笑)
ですが今回は、ウィキなどの事前情報、結末を知らない人向けに書いていきます。
ただ、若干のネタバレ要素があるのは、ご容赦ください。


まず、デビルのラスボスは、「死を超越した、進化の頂点にいる存在」と呼べる生物になります。
そもそも生物には「種の保存」という本能が、すべての種族に生まれながらに備わっています。
そして、この種の保存とは、各個体ごとではなく、自分の種族の絶滅を防ぐために備わっているといえます。
つまりは、個体よりも種族が優先…という感じでしょうか。

しかし、ラスボスはこの仕組みを変えてしまいました。
種族ではなく、自分という個体を増殖させることを絶対的な目的としています。
その為に使えるものは何でも使うという、かなりの傲慢さがあります。

数々の強敵と戦い、勝利をつかんできたデコッパでも、最後の敵は文字通りに「進化の頂点に君臨する存在」です。
普通に考えれば、デコッパに勝ち目などありません。
しかし、そこはデコッパ君です!

たとえ相手が進化の頂点であろうと、「彼の敵ではありません!」でした。
それを象徴する言葉としえて、彼はこのように言っています。
「生命は、死と向かい合っているからこそ強い」とね。

実は、この考え方はリアルの最新の研究でも同じことが言われています。
ここでは簡単に書きますが、要は、死を超越すると個体の進化が止まり、種の絶滅へと進む…という考え方があります。

死を超越したのに、種が絶滅するとは、矛盾している書き方ですが、これも正確に書くのであれば、おそらく人類も、そう遠くない未来には、ほぼほぼ死を、寿命を克服した状態を手に入れるはずです。
ですので、宇宙が滅亡でもしない限りは、半永久的に生を謳歌する生物になるのでしょう。
しかし、このような状態になると、進化自体が止まってしまう…ということです。


ですので、このような考え方を知っていると、実はデコッパの最後の相手は、未来人のような存在だったとも考えることが出来ます。
もちろん、実際には未来から来てはいませんが、未来人の一つのスタイルを体現した相手…という感じでしょうかね。
イメージとしては。

死を超越し、未来人としてのスキルも持っているラスボスに、デコッパは、人類はどのように勝利をするのでしょうか?
その方法は、実際に作品を読んで確認をして貰いたいと思っています(笑)

まあ、簡単なネタバレであれば、ネットを探せば簡単に見つかるかもしれませんが、ネタバレの情報と実際の作品とでは、全くの別モノです。
なので、できればちゃんと、オリジナルに触れて貰いたいと思います。


デビルだけでなく、私がこのブログで記事にする作品やサービスなどは、基本的に私以外の人にも、何かしらの役に立つ内容を基準に選定しています。

この「役に立つという言葉の中身」も、ビジネス的に役に立ったり、学習行為や創作活動に役に立つのもそうですが、娯楽としての時間を豊かにする!という意味での役に立つ…という意味合いも含まれています。
もちろん、これ以外の意味もありますが、とにかく、何かしらの魅力などが、一切無い内容は、基本的に記事にはしません。
時間の無駄ですから(笑)

まあ今回も、興味があれば、皆さんどうぞ!という感じになりますね。



それでは、今日も最高の一日を!